
ロード・オブ・ウォー上映時間 122分
監督/アンドリュー・ニコル
音楽/アントニオ・ピント
出演/ニコラス・ケイジ 、イーサン・ホーク 、ブリジット・モイナハン
ジャレッド・レトー 、イアン・ホルム
評価/☆☆☆☆(映画内容もさることながら、その存在自体が意味深い)レストランで働く平凡な男ユーリー・オルロフ(ニコラス・ケイジ)は、偶然銃撃戦に巻き込まれたことから、武器商人として生きていく道を思い立つ。弟のヴィタリー(ジャレッド・レト)とともに武器売買の事業を始めるが……。
日々、さまざまな場所で武器を使用した、戦乱が起こっています。
警察や軍は別にして、一般の人々やゲリラなどの裏の組織がどのようにして武器を手に入れるのか?アメリカと違って、日本では銃が街で赤札大特価!!なーんていう風に販売されているようなことはありません。日本人にとって最も想像しにくく、理解しにくい現状を赤裸々に描写している映画なのではないでしょうか?
主人公であるユーリー自身はフィクションの人物です。しかし、5人の実存する武器商人を掛け合わせて創りあげられているので、ユーリーにまつわる出来事のほとんどは事実ですし、監督のアンドリュー・ニコルは何人かの武器商人にインタビューした際に、「それぞれの武器商人の性格はユーリーに酷似していた。」と述べていることから、武器商人はこんな感じだったと思って間違いないのでしょう。
映画は、まず「銃弾の一生」と(toseaが勝手に)題した、銃弾が鉄板から作られるシーンから始まります。一生ですから終わりがあります。銃弾は発射されると、当たるか外れるかです。どうなるかは映画を見てください。僕はこんな形のオープニングクレジットが大好きです。
銃弾の視点なんて、こんな映画でも見ない限り、なかなか考えたりしないですもんね。
昔、犬の視点から世間を見た映像を見たことがありましたが、なかなか興味深かったです。
視点が低いので、タバコや空き缶が空から降ってくる(ように見える)んです。
さてさて、映画の話に戻って、ユーリーはある日、目の前で銃撃戦が起こるという場面に遭遇します。ここがターニングポイントとなり「死の商人」が生まれます。
そして、街一番の美女エヴァを手に入れたいがために、彼は「死の商人」としての才能をさらに発揮し、年収8800万ドル(1ドル=115円で101億2000万円?!)という年収を気付きあげます。101億円、しかも年収ですよ年収…orz
松井秀喜が4年で稼ぐ額が約62億円。1年計算で約15億円です。松井7年分をユーリーは1年で稼ぎます!まさに、
ブラックビジネスの1つの特徴ではないでしょうか?
そして、めでたくユーリーとエヴァは結婚。
子供も生まれます。
さて、このあたりから現実と理想のギャップが現れ始めます。
自分の売った1丁の銃で多くの人が何千もの人が殺される。
自分の最愛の子は銃から生まれたお金で育ち、お金と交換された銃で子供が死んでいく。
このことに対してユーリーは非常にシンプルに応えていると思います。
―私は殺し屋じゃない 人を撃ったこともない。
戦争で稼いではいるが、人が死なずに済めばと願ってる。―と…。ここから、映画は実際どのようにどういう背景の中で、どのように取引が行われているかが描かれています。
警察の目を盗み、法の穴を潜り抜け、時には命を掛けながら武器をさばいていきます。
また、インターポールの
バレンタイン刑事との追いかけっこもなかなか見ものです。
バレンタイン刑事は非常に誠実で曲がったことが嫌いです。
追いかけっこはまるで、ルパンと銭形のようです(笑)ここでも、ユーリーは湾曲の中で生きており、バレンタインは法という隙間だらけの鉄格子のような場所で生きています。
バレンタインは自分の行き方と仕事に信念と情熱、そして国に対する忠誠心を持ち、またそれをゆるぎない一つの芯として生きています。
しかし、映画の最後のほうでバレンタインはユーリーからアメリカの歪んだ側面を指摘されます。それに対して彼は何も言いませんでした。
ユーリーの指摘したことは紛れもない事実であり、しかもそれは彼の信念に反することだったために、言葉がでてこなかったのだと思います。
その後のバレンタインはどうなったのかわかりませんが、深く悩んだのではないでしょうか?
理想と現実の大きなギャップに…。さて、物語の概要はこんな感じです。あとは実際に映画をごらんいただきたいと思います。
ここからは、この映画について思ったことを書きます。
この映画の妙味は映画を語るのではなく、映画でどう思うかだと思うので…。
この映画にはアメリカの資本が入っていません。
それは、さきほど述べたとおり、この映画にはアメリカの歪んだ部分が入っているからです。
武器取引において最大の輸出国はほかならぬアメリカです。
武器取引の輸出量(2003年)のトップはアメリカ、次いでイギリス、ロシアと続く。
しかし、イギリスが47億ドル、ロシアが37億ドルとなっているのに対し、
アメリカはなんと136億ドルとダントツのトップである。
これは2位〜10位を足したとしても、アメリカのほうが多いという恐ろしい結果になる。
つまり、武器輸出の多くがアメリカがらみという部分は否定できません。
ユーリーの国籍はアメリカであり、映画ではビン・ラディンと武器取引をしようとして、中止したという一幕もでてきます。(フィクションだとは思いますが)
しかし、実際にこれは否定できない。アメリカが輸出した武器を使いアメリカ人がたくさん殺されているのは紛れもない事実。
アメリカはアフリカ諸国に多額のお金を貸しています。
そのお金はどのように使われているか?
インフラ整備?国民支援?
いえいえ、
そのお金はアメリカから
武器を買う資金として使われています。全部とは言いませんが。
恐ろしいですよね。
闇金が自社の返済の為に、顧客に新たな闇金を紹介してるようなものですよね。
映画でとくに印象に残った2つの言葉。
「必要悪」と「グレーゾーン」
意味深い言葉です。
平和を感じるためには、戦争などの暴力が必要であり、
ヒーロー登場の裏側には悪のボスが存在します。
(ちなみに平和の対義語って何なのでしょうね?)
事実、この映画をみてtoseaは日本は平和だと思ってしまいました。
アメリカが資本大国となった背景は、彼ら武器商人の存在があったからという一面もあるのです。 そういう意味でユーリーは自らのことを「必要悪」と言いました。
また、武器取引を行う際に「グレーゾーン」ぎりぎりを狙う、また私は「グレーゾーン」を好むとユーリーも言っています。
法律には「疑わしきは罰せず」という大きな大前提があります。
つまり、黒でなければ訴えられないということです。
グレーゾーンはtoseaが思うに法律を犯しているが、つかまらない部分だと思います。
文章で法律を明記している以上、解釈は人それぞれです。
しかも、法律のような難解な文章であるほど、解釈がわかれます。
日本でも9条問題を始め、そのような問題はたくさんあります。
イギリスは憲法典がない国として有名です。
判例法(コモン・ロー)を元にして裁判が行われているのです。
昔は社会でイギリスの法制度を習ったときに?ばかり浮かんでいたtoseaですが、
明文化された文章も完全ではなく、イギリスが複雑な歴史的背景を経験し、現在でもこのような法体系を存続しているのにはそれなりの意味があるのだとようやく気付けてきた遅咲きのtoseaです(^^;
「必要悪」の存在も「グレーゾーン」を作り出したのも私たち自身です。
これがいいのか悪いのかというと、toseaの個人的な意見では悪いのだと思います。
しかし、これらを消すことはおそらく永久的に不可能なことだと思います。
人間自身、欲望の塊でできているために、利害が絡むところがあれば必ずこのような言葉を使う部分がでてきてしまいます。
もし、仮にこれらの言葉がなくなるとすれば、ロボットの世界になってしまったときでしょう。
人間だからこそできる素晴らしい部分があるかぎり、そこには必ず抜け落ちた何かがあり、それがあるからこそ素晴らしく感じる。何か文字にするとわかりにくいですが、何とも厄介な存在です。(笑)
でも、toseaは人が好きですし、今の世の中の歯車である以上、しっかりと自分自身を研磨し続け、これらの穴を少しでも埋める努力をし続けたいと思っています。
この努力がまた素晴らしいモノとなるのだと思いますし、ひょっとしたらそうなるようにカミサマが人間のすることに穴をあけているのかもしれません(^^;
前回のブログで書いたように、占いとか神様はあんまり信じないですけど、やっぱり人間ってよくできていると思うtoseaでした。
…おーっと、
映画からはかなり離れてしまいました。
でも、こういうことを考えるきっかけになっただけでも、この映画を見た価値は十分にあります。そんな意味でも、ぜひたくさんの人に見ていただきたい。
toseaは主に「必要悪」と「グレーゾーン」をとりあげましたが、
ほかに印象的なシーンとして、寝ている子供のそばにあった
おもちゃの銃をユーリーがゴミ箱に捨てるシーンがあります。
武器商人も子供には銃を持ってほしくないと思っているのでしょうね。武器商人がそう思うのですから、武器は子供に好ましくないという説得力は抜群です!でも、ユーリーは武器を売る…。
複雑です…orz
もうすぐ、公開も終わってしまうと思うので、お早めに。
長くなってしまいましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。
風邪気味でのどがガラガラのtoseaでした(><)
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